原阿佐緒賞

原阿佐緒の文学的功績の顕彰を目的として、全国公募による「原阿佐緒賞」を毎年選定し、表彰しています。

第十二回原阿佐緒賞受賞作品

一般の部

第十一回原阿佐緒賞

亡き夫のパジャマで編みし布草履素足に履きてシーツ干しをり

千葉県 旭 千代

優秀賞

黙深くわれを背負ひて引揚者の列に従ひし母も今亡し

千葉県 下村 昭子

子の眼には見えて吾には見えぬものありて出て行く二人の娘

東京都 魚津 恭太

吹雪く夜に馬で往診せし父と埋み火守りし母よはるけし

岩手県 清水 福子

陽の温み阿佐緒のぬくみと墓に触るかたへのアシビにホオジロも来て

宮城県 佐藤 英子

今日ひとつ笑ふことありあなたより多く生きても良かった証か

宮城県 保原 みつよ

青少年の部(学校名は応募時)

優秀賞 青少年の部

母の背を小さく感じた台所あなたの歴史を教えてください

聖ウルスラ学院英智高等学校 原谷 怜

奨励賞

帰宅してすぐに聞こえる「おかえり」の声はいつでも私の味方

鹿児島県立川内高等学校 田島 紫音

台風が近づいているはやくこいわくわくしてる佐藤家姉妹

大和町立宮床中学校 佐藤 夏帆

夕暮れの闇に溺れる教室にただ一人立ち瞼を閉じる

群馬県立高崎北高等学校 倉 慎矢

自転車のサドルに陣取る雨蛙見つめあうことしばしの葛藤

群馬県立高崎北高等学校 村上 明日菜

時過ぎて忘れられゆく『戦争』を静かに語る沖縄の海

群馬県立高崎北高等学校 加部 さや

激情をセーラー服に隠しては微笑むふりだけしていた十六

仙台白百合学園高等学校 加藤 晴香

始まりと終わり交わる桜道独りぼっちで私は歩く

宮城県貞山高等学校 鈴木 結子

知るよりも知らない方が幸せと気付く頃には旅立ちのとき

聖心女子学院高等科 三浦 萌子

イヤホンをわけあい音をきくときがいちばん近いあなたとの距離

聖心女子学院高等科 尾郷 真紀

少年の涼しき瞳吊革へ手をのばしたり席をゆずりて

聖心女子学院高等科 古川 幹子

特別賞

気が付けばおんなじだったコピー機と真似ばかりして納得してた

聖ウルスラ学院英智高等学校 奥山 絵利花

置手紙いそいで書いた母の字が多忙な母の生活映す

鹿児島県立川内高等学校 戸島 千尋

雨上り七色の橋が空に架かる仲直りした証のように

鹿児島県立川内高等学校 佐多 陽奈

オオバコはふまれてもまた立ち上がる私もそんな人になりたい

大和町立宮床中学校 尾張 くるみ

しんしんと雪降り積もる寒い朝赤い実ついばむひよどりの群れ

大和町立大和中学校 後藤 達也

これまでの原阿佐緒賞受賞作品

第一回

障害の人らの仕上ぐる注連飾り 清やかに 藁の匂ひ立つなり

京都府 阪根 まさの

第二回

麻痺の手に 絵を描きゐし姉なりき 遺作の紅バラ 色褪せてきぬ

宮城県 大井 康江

第三回

車イスに 座りしままの母なれど 「北国の春」に リズムとりたり

宮城県 戒野 ゆき子

第四回

深き井戸の中のぞくがに見入りぬ病院ベットのわが初孫を

青森県 久米 新吉

第五回

卒寿すぎ逝きたる母の骨拾う苦労の欠けらに言葉かけつつ

宮城県 鈴木 蝶次

第六回

テロのイラク津波のインド洋も渡り来し月かと思ふ晧晧と光(て)る

宮城県 大宮 源一

第七回

二胡の音にかきみださるる思いあり弓にはげしく来る嫉妬心

宮城県 高橋 美枝子

第八回

母を抱き共に湯槽にひたりたり小さくなりし体ささえて

宮城県 木村 とみ子

第九回

船形はわかき山らしドキドキと脈打つように清水湧き出(い)ず

宮城県 畠山 みな子

第十回

秘密基地のごとくに門扉開かれて集団下校の児ら出でてくる

宮城県 大和 昭彦

第十一回

死ぬほどの恋ひとつありと言いおればかなた天より哄笑聞こゆ

宮城県 橋 美枝子

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