原阿佐緒賞

原阿佐緒の文学的功績の顕彰を目的として、全国公募による「原阿佐緒賞」を毎年選定し、表彰しています。

第十八回 原阿佐緒賞入賞作品

一般の部

原阿佐緒賞

墨の香(か)に我は旅するいにしえの欧陽詢(おうようじゅん)の書の美しき

宮城県 佐藤 ゆみ子

優秀賞

もう二度と帰ることなき人を待つ海辺に立てるにせのバス停

宮城県 遠藤 源一郎

野辺山(のべやま)の荒野(あれの)耕し二十年いま牧場に孫負ひて立つ

宮城県 八鍬 政雄

恩受けしあまたの人は世を去りて秋野に揺るる芒穂の群れ

宮城県 千葉 孝

震災後あまたの決断重ね来てやうやく建ちたり一人住む家

宮城県 中嶋 良子

指折りて歌詠み初むる子どもらが首をかしげて宙をみつめる

宮城県 羽賀 潔

青少年の部(学校名は応募時)

優秀賞

北辰よ我が生き様の道標輝きねがふ星空のなか

仙台育英学園高等学校 千葉 脩平

奨励賞

年あけに筆箱の中身いれかえる気持ち新たに学びゆく日々

宮城県黒川高等学校 佐藤 優志

真四角に切り取られてるドラマより世界は広い恋せよ「私」

仙台白百合学園高等学校 樋野 菜々子

七ッ森部活の様子見ているよ夕暮れ時の空と一緒に

大和町立宮床中学校 大場 麻衣

台風で雨風強し家の外そんななかでも虫たちは鳴く

宮城県黒川高等学校 白鳥 佑樹

解けそうだもう一息の方程式まだら模様の紅葉山仰ぐ

向陽高等学校 早稲田 優花

暗い中スマートフォンを見つめてる親指だけの友との会話

秋田県立能代高等学校 小玉 莉子

ありがとうだれにでも言えた一言がなかなか言えない十四の自分

美濃加茂市立西中学校 河路 健吾

カーテンをあけた瞬間目にささるかがやく朝日今日のはじまり

大和町立宮床中学校 淺野 空花

のぼり坂口笛吹いてペダル漕ぐ君に会えるから月曜が好き

仙台白百合学園高等学校 伊藤 優花子

えんがわで祖母と一緒に茶を飲めば不安が消えて心が安らぐ

美濃加茂市立西中学校 高木 理名

特別賞

晴天に白くまばゆい姫路城江戸の時代におもいをはせる

宮城県黒川高等学校 吉田 琳

清水の坂を私は駆け上がる坂の長さは歴史の長さ

宮城県黒川高等学校 小菅 智貴

祖母の味受け継ぐ母の横に立ち若かりし母に想いを馳せる

宮城県富谷高等学校 三浦 麻優菜

冬の朝耳を澄ましてよく聞けば静かな空に白鳥の声

大和町立大和中学校 伊藤 愛紗

寒い時家族で囲む食卓の中心にあるおいしいお鍋

大和町立大和中学校 和泉 菜花

これまでの原阿佐緒賞受賞作品

第一回

障害の人らの仕上ぐる注連飾り 清やかに 藁の匂ひ立つなり

京都府 阪根 まさの

第二回

麻痺の手に 絵を描きゐし姉なりき 遺作の紅バラ 色褪せてきぬ

宮城県 大井 康江

第三回

車イスに 座りしままの母なれど 「北国の春」に リズムとりたり

宮城県 戒野 ゆき子

第四回

深き井戸の中のぞくがに見入りぬ病院ベットのわが初孫を

青森県 久米 新吉

第五回

卒寿すぎ逝きたる母の骨拾う苦労の欠けらに言葉かけつつ

宮城県 鈴木 蝶次

第六回

テロのイラク津波のインド洋も渡り来し月かと思ふ晧晧と光(て)る

宮城県 大宮 源一

第七回

二胡の音にかきみださるる思いあり弓にはげしく来る嫉妬心

宮城県 高橋 美枝子

第八回

母を抱き共に湯槽にひたりたり小さくなりし体ささえて

宮城県 木村 とみ子

第九回

船形はわかき山らしドキドキと脈打つように清水湧き出(い)ず

宮城県 畠山 みな子

第十回

秘密基地のごとくに門扉開かれて集団下校の児ら出でてくる

宮城県 大和 昭彦

第十一回

死ぬほどの恋ひとつありと言いおればかなた天より哄笑聞こゆ

宮城県 煖エ 美枝子

第十二回

亡き夫のパジャマで編みし布草履素足に履きてシーツ干しをり

千葉県 旭 千代

第十三回

ちぎりし如防潮堤の津波の跡曝れたるままに又雪が来る

宮城県 佐藤 三代

第十四回

つばくろのひなのごとくに我が母は我れのスプーンに口を開けをり

宮城県 尾形 八重子

第十五回

大波に果てし人らのたましひの薄日と遊ぶすすき穂の先

宮城県 北辺 史郎

第十六回

朝の日に等身大のわが影の映る豚舎のカーテンを上ぐ

福島県 島 悦子

第十七回

鍬やめて鋤(すき)ぐわ買はむ「全壊」の庭の茅(ちがや)の白根掘るため

宮城県 煖エ 義仁

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