企画展「阿佐緒が生きた時代」
平成16年1月6日より企画展「阿佐緒が生きた時代」を開催しています。阿佐緒が生きた明治、大正、昭和とはどのような時代だったのか?この企画展では文学界の流れと社会の動きを通し、阿佐緒がどのような時代に身を置いてきたのか、また阿佐緒がその時どのように過ごしたのかを紹介しています。
阿佐緒が生まれた明治時代は急速に欧米化が進み、日清、日露戦争で勝利して世界の列強と肩を並べます。文学においては、与謝野晶子らを中心に浪漫主義や、自然主義が石川啄木らによって主流となっていきました。また夏目漱石や森鴎外はこうした文壇の流には加わらず独自の存在を示していきました。
大正になると民主政治を目指して護憲運動が興り、普通選挙法が成立されます。こうした風潮に乗って文学の面でも、永井荷風らが耽美的作風を起こし、人道主義の志賀直哉らと共に文壇をリードしました。婦人解放運動がさかんになり、「青鞜」では阿佐緒も歌を発表しています。昭和初期には恐慌状態に陥り、それから15年もの戦争の時代を迎えます。文学世界にも影を落ちる中、太宰治らはより純粋な形で優れた作品を残しました。1945年、日本は連合国軍に降伏して占領下に置かれ、民主化の道を歩み始めます。終戦後の文学はますます活発となり様々な才能が開花しました。戦争の影を引きずらない「第三の新人」が現れ、現代文学へと繋がって行きます。
企画展ではこのような時代の流れの中で阿佐緒がどう生きたのかと年表などと比較しながら紹介をしました。