企画展「阿佐緒とファッション 〜写真に見る時代〜」
平成15年6月1日より写真を中心とした小企画展「阿佐緒とファッション」を開催しました。記念館には数多くの阿佐緒の写真が収蔵されています。その写真に残された彼女の姿を通して、明治、大正、昭和という阿佐緒が生きてきた時代を「ファッション」という観点から振り返ってみました。
明治時代、外国文化から強く影響を受けた日本は、西洋化が進み洋装も浸透し始めます。しかし一般の人々にはまだまだ和服が馴染み深いものでした。阿佐緒はこの時代を和服で過ごしたようです。西洋化が導入されるとともに、教師など職業を持つ女性が増え始めます。明治18年には華族女学校が開設され、優美かつ実用性の高い「華族女学校専用袴」が考案され、全国の女学生や職業婦人に広まりました。また、裕福な家庭の子女にはステータスを示すものとして幼い頃から着用されました。
関東大震災の復興に伴い、東京は近代的かつ西洋的な都市へと生まれ変わります。この「近代主義」からモダンガールが生まれました。「断髪」「洋装」のモダンガールたちは女性の意識向上や婦人解放運動の波に乗り、さらに広がりを見せていきます。モダンガール姿の阿佐緒の写真も数多く残されています。大正から昭和にかけて洋服が一般の人々にも普及しましたが、都市部以外では着物も普段着として変わらず用いられていました。この頃の着物は現代のものとほとんど変わらない形となり、着物姿に断髪という姿も見られるようになります。昭和13年、「国家総動員法」により戦争体制になると、女性にはもんぺ姿が推奨されます。終戦を迎えて衣服の統制がなくなると、様々な服飾文化が花開きます。そして既製品が普及し、衣服は作るものから買うものが主流となりました。
この企画展では、阿佐緒が生きた和服から洋装へと移り変わる時代を、写真と共に紹介しました。